西山猫島のキセキ補稿
今回このシナリオの制作に当たり、モチーフとなった作品があります。
作品は、湖西昌様原作「ソーダ屋のソーダさん」という作品です。
この作品、離島に住む早田佐和子さんと斉田光哉を中心に、生霊に関する物語を、時にコミカル時に重く描いた傑作、と、思っています。
この作品、何が心に引っ掛かったかというと、主人公早田佐和子さんのこの一言「私・・・死んでしもうたみたいなんよ」
元の作品も、この一言を元に物語が進みますが、果たして、TRPGでこの一言を成立させることは可能なのか?その問いについてがこのシナリオであり、回答のつもりでもあります。
ストーリーライン
物語はPC@の日常から始まります。
特別なことが起こる気配もない西山猫島。ゆっくりと穏やかな日々が、ただ流れていく日常の中、草田サキがPC@に尋ねます。
「なぁ、私、死んでしもうたみたいなんよ」
サキはPC@に、このことは秘密にしておいてほしいと前置きして、体を調べてほしいと言います。
PC@の反応を見て、それでもPC@に死んでいる状態を確かめさせようとします。触れればわかりますが、確かに生きている感じ(体温や鼓動)が感じられません。
サキは体のことを内緒にするようPC@に念押しします。
PC@がサキの体を調べているとき、サキの妹綾芽が商店に帰ってきて、その光景を見ることとなります。そこで綾芽が錯乱するなどの騒動になります。
その後、PCAの元に九条綾子から奇妙な形で通信が入ります。(テレビ画面から呼びかけられたり、公衆電話の呼び出しがあったりなど)
また、PCBと綾芽が海岸でなくしたシャードを探しに行ったり。
PCCが、遠山先生の資料から欠損したシャードの回復促進についての研究資料を見つけたり。
それぞれのイベントが発生し、世界がおかしいことに気がついてもらいます。
そしてある日の早朝、島を揺るがす地震が発生します。それに呼応するようにPCBの体に激痛が走ります。
地震はかなり大きく、人的被害は多少の軽傷ぐらいですんだものの、町の各所に地割れが発生しています。
また地割れの奥から彼岸花のような植物が発生します。この植物は、リコリスの末端でありわずかですが奈落の瘴気をを帯びています。
この植物を見た早田姉妹は、かなりおびえた様子を見せます。
地震の発生は、リコリスのダメージが回復し始めてるためです。
地震騒ぎの復旧のさなか、PCBはリコリスの分身と出会うこととなり、草田サキの真実の一端を聞くこととなります。
このときの話は、サキはリコリスに従いPC達を西山猫島に誘い入れた。いずれこちら側の存在になる草田サキにもてなされているPC達が滑稽で笑いが止まらない。そんな草田サキだからこそ、仲良くしてやってほしい。と。
その後PCAPCBは、活性化した奈落の力を受けたクリーチャーの襲撃を受けます。このときPC達には、クエスタートしての能力はありません。(判定は未装備状態で行ってもらいます)(ここはあえて苦戦してもらいます)
その遭遇の直後、他のクリーチャーに追われている綾芽と合流することとなります。
ここでPCAPCBが綾芽と接触しているなら、クエスターの能力を使うことができます。(上記の制限なし)
その夜、サキは地震の暗い雰囲気を解消したいと思い、PC達を誘い海岸で花火を使用と提案します。
花火の場では、サキと遠山がそれぞれのPCに体などの回復具合をそれとなく尋ねます。
この花火の場で、サキはPCAにIBBS職員専用の携帯端末を渡します。その内容を見ることで、PCAはSODA−113の記憶を取り戻すことになります。
花火の火の翌日、この日は先が楽しみにしていたタイムカプセルを開ける日となっています。
ですがサキは、PC@をあえて先に行かせ、タイムカプセルを掘り起こすよう頼みます。
そこからPC@にはサキが、PCAPCBには綾芽が、PCCには遠山が島の真実を語り、それぞれのシャードに姿を変えます。リコリスを討つことをPC達に託し。
それぞれのシャードを取り戻したPC達は、島の地中奥底に隠れているリコリスの本体と対決することとなります。
以上がミドルシーンの大まかな流れとなります。
PCについて
これを書いている人のTRPGシナリオ作成の傾向はストーリー重視となっています。
そんなシナリオ作成方法で最も重視している事は、導入部分をどうするか?ということです。
そういったことから、シナリオもミドルよりも導入部分に、相当のウェイトを置いています。
ここからは、各PCについての設定を、もう少し掘り下げて記述しようと思います。
PC@の場合
TRPGの様式において、PCナンバーが付くようになって以来、PC@とは主人公的な位置をなったようです。
それで、このシナリオでは主人公としてPC@は何をすべきか?
それは草田サキさんの相手をしてもらうことです。
その事を表しているのが、PC@のクエスト「サキとの約束を守る」と言うことになります。
約束の内容は、サキの体のこと、つまりは死体同然の状況であることを喋らなければいいだけのことなのです。
草田サキへの対応が非常に重要なこのシナリオ、クエストを追求するという負担を無い様に考えた結果です。
また、PC@のミドル最初のシーンは、サキに「私死んどるみたいなんよ」と、告げられる流れで、サキの体を触って調べることになりますが、そこを綾芽とPCA以降のキャラクターに見られ綾芽が逆上するという流れになります。
いろいろな意味でPC@には頑張ってもらいたい物です。
これは全PCに言えることですが、早田サキを、どこまで信じることができるか?特にPC@がそこをどう思うかが重要になればいいなと思います。
PCAの場合
PCAの立場を今一度確認するなら、IBBSの職員であり、同じくIBBS職員だった草田サキの先輩指導担当であり、そしてこのシナリオの表の流れにおける主人公と言えます。
このシナリオ自体が、SODA−113という事件の後始末であり、PCAがPCの中で唯一の当事者だったと言えます。
その状況を示す様に、PCAのクエストは「欠けた記憶を取り戻す」つまりは事件の記憶を取り戻すことにあります。
PCの造形として、早田サキの先輩に相応しいといいのですが、そうでないならそうでないで、それでも先輩職員のロールプレイを期待したいところです。
PCAのクエストは、シナリオの後半で、サキから情報端末を渡されるところで果たされることとなります。
シナリオがうまく進んでいれば、その情報は今までの状況確認で済む話となるのですが、そうでなければ・・・・大変だなぁ。
何にせよ、シナリオがうまく進んでいるかどうかは、PCAがしっかり動いている事が重要です。そういう風に頑張ってほしいところです。
PCBの場合
PCBの立場と言えば、何を置いてもリコリスとの因縁と言えます。
PCBが西山猫島に来る理由も、シャードの破損が理由と言えるのですが、その原因こそリコリスにシャードを砕かれその半分を奪われたことになるからでしょう。
そう、PCBとリコリスは、ただの仇敵ではなく、シャードを通して繋がっている存在と言えるのです。
PCBのプレイヤーがその事をしっかり判っていれば、時々発生する体半分に発生する激痛がなんなのか気がつくでしょうし、結構おいしいロールプレイのネタになると思うのです。
そしてPCBはリコリスに一番近い立場にいると言うことから、ミスリードを誘う情報をもたらされることとなります。
地震直後、リコリスと差しで話をする機会がありますが、そこの情報にはウソがなく、言葉を選び情報を制限することで、サキが奈落側の存在という疑惑に繋がる情報を流されるわけです。
まぁこのことでゲーム展開に支障が出る様でしたら、「敵から得た情報を、どこまで信用する?」と、敢えて尋ね、助けてあげるのもありでしょう。
クライマックスにおいてもPCBがその目的を果たす最大の機会となるので、リコリスとの決着をしっかり着けてもらいましょう。
PCCの場合
放置という名の自由枠です。
PCCが出なければならないシーンは少なく、もしかしたら西山猫島にいる理由も自分で設定する必要があるほど放置プレイを堪能できます。
その割にはアル重要な情報が、情報と言うよりシナリオキーワードに近い言葉がオープニングで明かされます。
遠山先生から「この島の生活は退屈だろ。でも、ちょっとした休暇だと思えばいいさ」という言葉がかけられますが、その言葉こそ、西山猫島がルートワールドとなってまで存在した理由となるのです。
その関連もあり、PCCには破損したシャードの回復促進に関する事が情報としてもたらされます。(PCCの出場必須の数少ないシーンです)
本当にPCCにはこれ以上どうこうするネタはありません。自由枠と言う名の放置ですらないかもしれません。
そう言ったわけで、PCCにはそこに存在する理由から自分で考えてもらいましょう。
NPCについて
NPC:草田サキ
本シナリオのメインNPCであり、シナリオの流れを左右する存在でもあります。
モチーフはもちろん、ソーダ屋のソーダさんの主人公「早田佐和」さんです。
様子もあのままで、おっとりとしたどこにでもいそうな島の娘さんです。しかし誰にも言えない秘密をその心に隠し、それは自分を取り巻く周りの人々、ひいては世界を守るためです。
その部分を見て、このNPC側の主人公が一体何だったのかを見てみると?
このシナリオが作られた理由は、このソーダ屋のソーダさん劇中冒頭の一言「私・・・死んでしもうたみたいなんよ・・・」この一言があったからです。
TRPGで、この一言を成立させるためには、何を用意しどう展開させるか?その根幹となるキャラクターなのです。
シナリオ内で彼女は、リコリスという奈落と一つの賭をします。
草田サキはリコリスという奈落を取り逃がしてます。そのリコリスを滅ぼす機会と手段をリコリスから提示されます。そのチャンスが潰える、賭の内容を他者に話す、その事で草田サキとそのシャードは奈落化するというのが賭の内容でした。
さて、プレイヤーがこの賭のからくりの真実にたどり着いたとき、且つ草田サキの存在が奈落化されていなかったとするなら、一つの問いかけがされることとなります。
「目的はどうあれ、草田サキは奈落と取引を行い、死からの逆行を行った」
さて、そこで、サキの行いを許すのか糾弾するのか?
安易にサキを許すことになれば、許したあなたは、リコリスのやったことを肯定することとなりますが、どうする?
まぁ、ここまでたどり着く人はいないんだろ〜な〜。
NPC:早田綾芽
モチーフは草田サキさん同様、ソーダ屋のソーダさんの1キャラクター、まぁNPC側主人公の妹さんです。
ソーダ屋のソーダさん本編でも大きな秘密を無自覚に抱えていましたが・・・まぁネタバレはこれぐらいにして。
シナリオ内では、草田サキが西山猫島にて作り出した仮想人格の一人で、やはり自分の妹として造形されています。
本体(草田サキ)が秘密を抱えている分重くて動きにくいところがあったので、PC間を動き回りゲームマスターの方でシナリオを動かすキャラクターになるでしょう。
活発で好奇心旺盛、姉大好き、人見知りはしないほう。草田サキがあの通りおっとりした性格の人なので、子供の頃もう少し活発だったらと言う願望が形になったのだと思っています。
NPC:遠山みのり
早田綾芽と同じく、サキが西山猫島において作り出した仮想人格の一人。西山猫島の真実に一番近い存在と言えます。
島がPC達の回復のためにある。それもシャードを回復させるための目的となっている、その側面を担っているのがこのNPCと言えます。
モチーフはこれもソーダ屋のソーダさんより、島の医者Drペッパーさんとなっております。
このシナリオ最大のギミックだと思っているのがPCC導入のこの言葉。
「今の生活が退屈かな?それとものんびりしたいい生活かな?今のような生活が良いと思っても悪いとも思っても、この時間が大切なんだ。今のようなゆったりした時間がね」
西山猫島の存在理由があっさりオープニングで語られるのです。
シナリオ冒頭にこのようなことを行うのも、情報公開をフェアにしておきたいという想いだけとも言えます。
非常に頭脳明晰な人を想定していますので、会話が多いとそれで苦労します。
珍しく脳内でCVを想定しておりまして、くだけた大人の女性の雰囲気の沢城みゆき様を考えていました。
そのあたりの雰囲気が出てればいいなと思うキャラです。
NPC:リコリス
ググるなどして戴ければ、日本語で「彼岸花」と判ることと思います。
このシナリオ、特に草田サキを巡る物語を見れば、それにふさわしい植物だと思います。
このリコリスというキャラクター、今回ver1.5に構成し直すときに作った新キャラクターとなります。
シナリオを作った当初は、自身のアルシャードガイアを通じて登場する奈落の存在として「ファントム」というNPCを設定していました。
しかし、このファントムなるNPCは、クライマックス寸前シナリオのネタをある程度明かして退場する役目を負っていました。
そうなると、深い因縁を持っているPCBのモチベーションの昇華が、今ひとつくすぶることになってしまってました。
今回この点を考慮し、PCBと直接対決するNPCにすることにしました。
また、シナリオ内の地震発生直後、PCBを通じてプレイヤー達を揺さぶる情報公開をしますが、西山猫島と草田サキの謎の一端を探る数少ない機会とも言えます。
さて、この状況に直面したPCBが頭の切れる人物だとしたら、奈落との対話にどんな言葉を選ぶのか?楽しみです。
NPC:九条綾子
これを書いている人の脳内スターシステム常連の一人です。
TRPGでは中々お目にかかれないキャリア官僚の方で、IBBSというこれまた独自設定のお役所のトップとなっています。
生きる目的というかライフワークは、ブルースフィアを守るためなら、何でもするしどんな犠牲も厭わないという頼もしく危ない人です。
設定にお役所を出すと言うことは、そこに官僚もほしいと思い、考えた末がこのような人物。ただのお役人という人物像では面白くない、役人をするモチベーション且つ結構極端な信念を持たせるには?
ということで、何が何でもブルースフィアを守るという信念を持ってもらうこととなりました。
こんな人ですが、しゃべり方はのほほんとした京都風。GMするにもプレイヤーとして会話するにも手強い相手という感じを目指します。
設定その他
西山猫島
このシナリオのメイン舞台であり、そのために用意したルートワールドです。
ソーダ屋のソーダさんの雰囲気をそのままTRPGに持ち込むにはどうする?ただでさえ今のTRPGは「戦闘頑張れ」で、それでもあのゆったりした空間をやってみたいとするなら、どうしたらいい?
そこで島の生活の意味を設定、PC自身とシャードの回復の場が必要と言うことでした。
このシナリオを作ったとき、「Drコトー」というよく似た設定のテレビドラマが放送していた事もありました。
プレイヤーの感じ方が、島の環境に対し疑心暗鬼や焦りを感じてもらうのも、こちらのもくろみ内なので、してやったりという気にもなりますが、いち早くこの島の目的に気がつくか?という所も気になるところです。
SODA−113
まぁ、ただのしゃれです、SODA=ソーダ。
実際は、役所的な名称の付け方なら、記号−番号にしておけば、それっぽく見えるのではないかと思い、このような作戦名となりました。
注)これを書いている人は、役人生活が長いので詳細は違うけれども文書番号の取り方はこれに似ていると言うことを知っていますし、仕事上のやり方をもじっているとも言えます。
またこのSODA−113という言い方は、あくまでIBBSの記号番号付番法則とします。
TRPGのシナリオを作るときの好みの問題ですが、当方かつての事件、特に大きな事件の後日談という体裁の物語を好みますので、こんな事件を設定した次第です。
たまに「この事件そのものを扱ったシナリオを作れ」と言われますが、モチベーションがシオシオなので、いつになることやら。
設定:加護「メイヴ」
多分このシナリオ内諸々のこじつけの結晶。
草田サキ殉職の理由(加護の代償)
ルートワールドになった西山猫島(加護の余剰エネルギー)
リコリスがサキに目をつけた理由(レアな加護)
PCAが記憶を飛ばしてしまう理由(加護のエネルギーがアレですから)
何よりSODA−113が、かろうじて目的を達成したのが、メイヴによりリコリスの奈落をほとんど削り取ったためなので。
そこまでの要素がありながら、本編ではほとんど触れられないことが多いのです。
惜しいことをした。
シャードの回復方法
西山猫島の設定にもありますが、島の存在理由とは何か?それは傷つき疲れたクエスターを回復させる場と言うことでした。
しかしながら傷つき疲れたと言っても、システム上、クライマックス以外でのHPMP回復はほぼ一瞬なので、休息なんぞ不要ではないかい?と、言われるのが落ちです。
そう言われて「ハイそうです」と言ってしまえば、シナリオは成り立たない。
そこでもっと端的に休養を必要とする状況は何か?と、思いついたのがシャードの破損とその回復と言うことでした。
PCがその能力を使うにはシャードが必要。ならばそれに時間をかけてくださいと言うことです。
(システム本にも、シャードが破損しても回復するとありましたが、どう回復すると詳しく書いてなかったと記憶しています)
そして結構大きな伏線、「シャードを人として扱えば、その回復が格段に促進される」それは草田サキをはじめとするNPCの存在理由に繋がってきます。
ミドルシーン:第1幕
シナリオにあるミドルシーン一番最初の一幕ですが、早田商店にて草田サキとPC@が登場し、サキがPC@に自分が死体だと確認してもらう下りです。
これを書いている人がGMをするなら、まずサキさんがPC@の手を取り、体温のないことを見せます。
そしてその場で横になり、PC@に心音を聞いてもらおうとします。
PC@が心音を聞こうとサキの胸に耳を当てようとすると、綾芽と他のPCが早田商店に帰ってきて、綾芽が錯乱、しっちゃかめっちゃかになるという展開となります。
コミカルに行きます。
この展開があって、後の展開の重さが栄えると、そう思ってます。
生死感
Ver1.0の時の話ですが、クライマックス終了寸前、プレイヤーの一人にえらくゴネられた事があります。
「サキが生き返らないのは納得いかない。加護でも何でも使って生き返らせるべきだ」と。
何かと時間をかけられましたが、サキが死亡した事実は動くことなく終わりました。
これを書いている人の中では、死亡確定なら生き返ることなど無いのです。そこは現実準拠、バトル漫画並みの安売り蘇生はあり得ません。
サキさんはシナリオ開始時点では死んでいます。 その事実はひっくり返ることはないのです。
もし、なんかのアレでこのシナリオでゲームマスターをしようとする方々、この点だけは譲らないでほしいのです。
でないと、「なぁ、私、死んでしもうたみたいなんよ」という台詞が全てウソで、安いハッピーエンドのたたき売りになりそうで。それよりも、安易にサキの死を無かったことにするなら、やってることはリコリスと変わらないでしょう。
そこまでのことを言っておきます。そこまでの理屈を超えることができるなら、甦ることができるのかなぁ?
エンディングについて、
エンディングとなる場面は、シナリオを一通りこなし、クライマックスで敵のヒットポイントをがっつり削った後の話。
しかしながらエンディングへ至ったとき、そこまでのゲーム展開が、果たしてどこまでシナリオ作成時に想定した内容となったのか?
仮にミドルシーンの展開を完全に考慮しエンディングまでシーンの詳細を記述する、残念ながらそこまで書くのは不可能に近いことではないか?
プレイヤーによっては全く想定してない事をミドルシーンで行うこともあります。
本当にそのあたりを見越すと、エンディング部分については、かなり大雑把な記述となります。
記述できることも、PC達が行ったことを元にシナリオのキーとなる部分(このシナリオでは、サキに対する態度など)を元に、うまくいかなければしょっぱい描写に、うまくいっていればそれなりに救われた描写になる、その程度しか書けないでしょう。
これは、このシナリオ独特のことではなく、今まで作ったシナリオ全てに言えることです。
そのためエンディングは、アドリヴを構成するため脳を酷使している状況となります。
三つの質問
このシナリオは、PC@がガイアを持つことが必須と言いたいシナリオとなっています。つまりは、キャラクタークラスのレジェンドを持つこととなりますが、それは同時に「運命の予感」という特技を自動的に得ることとなります。
この特技は、情報のほとんどを情報収集判定でまかなえるシナリオで、情報の取りこぼしをフォローするための特技とみています。
西山猫島のキセキというシナリオは、情報収集判定がほぼありません。
小さな島のどこから情報を得るのか?そこは現実的にならざるを得ません。(状況を整え、人々から聞きだしてください)
それ以前に、この手の特技は、使いどころが難しいと思うのです。
質問3つがシナリオ展開の核になることの解明に使われたらいいのですが、現実は結構な割合で明後日の方向のことを尋ねがち、または出し惜しみする、使いどころが判らず質問権を放棄する、といったことが容易にに予想されます。
と言うことでこのシナリオにおいては、シナリオ開始前にレジェンド持ちにこう尋ねます。
「運命の予感をここで仕様の権利を放棄するなら、代わりにシナリオのヒントを3つ提示します。それぞれの項目はシナリオ全体のヒントなので、アナタだけに関わり項目ではありませんが、どうしますか?」
応じるなら以下の3点を提示します。
1・敵からの情報をどう評価するか?
2・草田サキについて不用意に深入りすれば、悲劇しかない。
3・嘘をつくNPCは一人もいない。
1は、シナリオがある程度進まないと意味をなしません。PCBがシナリオ中にリコリスと合う場面のアドヴァイスです。
2は、草田サキや遠山みのりの口が重い事を暗示します。
3は、むしろゲームマスター側の話で、ミスリードは可能ですが言葉は慎重に使う必要が出てくるというととになります。
さて、様々な意味でこの情報をうまく活用してほしいと思う次第です。
真相へ
このシナリオは、アルシャードガイアを元に作っておきながら、情報収集シーンも判定もないというシナリオになっております。
全てはNPCとの会話と、キャラクターの行動から出てきた結果、マスターが提示する描写などから事件に関わることを読み取ってほしいと思い作られています。
また情報収集、というかシナリオの本当の確真に近付く事について非常にやっかいな点が、草田サキの真実にうかつに近づく事がバッドエンドへの道になっていると言うことなのです。
どういうことか?もう一度確認するなら、草田サキに対し、言い負かす・説得する・交渉するなどして、本人から真相を聞き出した時、リコリスとの契約により奈落側の存在になると言うことなのです。
そこで、それでもサキの真実にサキを直接問いただすことなく、近づく方法はあるのか?かなり難解な方法なら一つ想定できます。
その方法は、リコリスから直接聞き出す、という方法が考えられます。
この方法、神がかりなひらめきがないと、不可能な思いつきなのか?それより僅かにましだと言います。
根拠は以下の通り。
シナリオ中、西山猫島全体を襲う地震が発生し、その事態収拾を行っているとき、PCBは、リコリスと会話をするシーンがあるのです。
ただ、そのシーンを見ていて、リコリスと接触しようと思いつくことは難しいとは思います。
ですがここに可能性の一つとして提示しておきます。
状況によりますが、前述の「運命の予感」に関するヒントの先渡しを見て、一つ目のヒントがこのことの手がかりにもなります。
シナリオ中盤PCBは、リコリスと会話する機会があります。
見方を変えれば。、敵(リコリス)から情報を得る機会があると言うことを、ここで示していることとなります。
まぁ、ここまで考えが至ることは希だと、思います。そして思いついてからも、その接触方法は?交渉の方法は?と、難題山積みでしょう。
それに下手をすると、情報収集をしようとしたキャラクターは、一人先にBOSS戦をすることになるかもしれないからです。
これも、おそらく辿り付くことが非常に困難な道と思います。
最後に
これが、今現在シナリオを可能な限り作り込み、その情報をできるだけテキスト化した結果となります。
本来、TRPGは参加者に「楽しかった」と思わせることが本筋なのです。ならばここまでの情報量は不要であり、むしろここまでの情報量は本筋の「楽しむ」という事すら阻害する要因となり得ます。
それでも書きます。
何より自分が遊ぶことに、納得いく作品を作りたいのです。
そして自分以外の人の前で表現することなのです。それに手を抜くのは失礼になる。そういう想いがあるのです。
本来TRPGのシナリオなんて、始まって終わって楽しかった、を満たせば及第点なのです。
それでもそこに至るまで、これほどの労力を払っているゲーマーがいると思い至って戴ければ幸いです。
作品は、湖西昌様原作「ソーダ屋のソーダさん」という作品です。
この作品、離島に住む早田佐和子さんと斉田光哉を中心に、生霊に関する物語を、時にコミカル時に重く描いた傑作、と、思っています。
この作品、何が心に引っ掛かったかというと、主人公早田佐和子さんのこの一言「私・・・死んでしもうたみたいなんよ」
元の作品も、この一言を元に物語が進みますが、果たして、TRPGでこの一言を成立させることは可能なのか?その問いについてがこのシナリオであり、回答のつもりでもあります。
ストーリーライン
物語はPC@の日常から始まります。
特別なことが起こる気配もない西山猫島。ゆっくりと穏やかな日々が、ただ流れていく日常の中、草田サキがPC@に尋ねます。
「なぁ、私、死んでしもうたみたいなんよ」
サキはPC@に、このことは秘密にしておいてほしいと前置きして、体を調べてほしいと言います。
PC@の反応を見て、それでもPC@に死んでいる状態を確かめさせようとします。触れればわかりますが、確かに生きている感じ(体温や鼓動)が感じられません。
サキは体のことを内緒にするようPC@に念押しします。
PC@がサキの体を調べているとき、サキの妹綾芽が商店に帰ってきて、その光景を見ることとなります。そこで綾芽が錯乱するなどの騒動になります。
その後、PCAの元に九条綾子から奇妙な形で通信が入ります。(テレビ画面から呼びかけられたり、公衆電話の呼び出しがあったりなど)
また、PCBと綾芽が海岸でなくしたシャードを探しに行ったり。
PCCが、遠山先生の資料から欠損したシャードの回復促進についての研究資料を見つけたり。
それぞれのイベントが発生し、世界がおかしいことに気がついてもらいます。
そしてある日の早朝、島を揺るがす地震が発生します。それに呼応するようにPCBの体に激痛が走ります。
地震はかなり大きく、人的被害は多少の軽傷ぐらいですんだものの、町の各所に地割れが発生しています。
また地割れの奥から彼岸花のような植物が発生します。この植物は、リコリスの末端でありわずかですが奈落の瘴気をを帯びています。
この植物を見た早田姉妹は、かなりおびえた様子を見せます。
地震の発生は、リコリスのダメージが回復し始めてるためです。
地震騒ぎの復旧のさなか、PCBはリコリスの分身と出会うこととなり、草田サキの真実の一端を聞くこととなります。
このときの話は、サキはリコリスに従いPC達を西山猫島に誘い入れた。いずれこちら側の存在になる草田サキにもてなされているPC達が滑稽で笑いが止まらない。そんな草田サキだからこそ、仲良くしてやってほしい。と。
その後PCAPCBは、活性化した奈落の力を受けたクリーチャーの襲撃を受けます。このときPC達には、クエスタートしての能力はありません。(判定は未装備状態で行ってもらいます)(ここはあえて苦戦してもらいます)
その遭遇の直後、他のクリーチャーに追われている綾芽と合流することとなります。
ここでPCAPCBが綾芽と接触しているなら、クエスターの能力を使うことができます。(上記の制限なし)
その夜、サキは地震の暗い雰囲気を解消したいと思い、PC達を誘い海岸で花火を使用と提案します。
花火の場では、サキと遠山がそれぞれのPCに体などの回復具合をそれとなく尋ねます。
この花火の場で、サキはPCAにIBBS職員専用の携帯端末を渡します。その内容を見ることで、PCAはSODA−113の記憶を取り戻すことになります。
花火の火の翌日、この日は先が楽しみにしていたタイムカプセルを開ける日となっています。
ですがサキは、PC@をあえて先に行かせ、タイムカプセルを掘り起こすよう頼みます。
そこからPC@にはサキが、PCAPCBには綾芽が、PCCには遠山が島の真実を語り、それぞれのシャードに姿を変えます。リコリスを討つことをPC達に託し。
それぞれのシャードを取り戻したPC達は、島の地中奥底に隠れているリコリスの本体と対決することとなります。
以上がミドルシーンの大まかな流れとなります。
PCについて
これを書いている人のTRPGシナリオ作成の傾向はストーリー重視となっています。
そんなシナリオ作成方法で最も重視している事は、導入部分をどうするか?ということです。
そういったことから、シナリオもミドルよりも導入部分に、相当のウェイトを置いています。
ここからは、各PCについての設定を、もう少し掘り下げて記述しようと思います。
PC@の場合
TRPGの様式において、PCナンバーが付くようになって以来、PC@とは主人公的な位置をなったようです。
それで、このシナリオでは主人公としてPC@は何をすべきか?
それは草田サキさんの相手をしてもらうことです。
その事を表しているのが、PC@のクエスト「サキとの約束を守る」と言うことになります。
約束の内容は、サキの体のこと、つまりは死体同然の状況であることを喋らなければいいだけのことなのです。
草田サキへの対応が非常に重要なこのシナリオ、クエストを追求するという負担を無い様に考えた結果です。
また、PC@のミドル最初のシーンは、サキに「私死んどるみたいなんよ」と、告げられる流れで、サキの体を触って調べることになりますが、そこを綾芽とPCA以降のキャラクターに見られ綾芽が逆上するという流れになります。
いろいろな意味でPC@には頑張ってもらいたい物です。
これは全PCに言えることですが、早田サキを、どこまで信じることができるか?特にPC@がそこをどう思うかが重要になればいいなと思います。
PCAの場合
PCAの立場を今一度確認するなら、IBBSの職員であり、同じくIBBS職員だった草田サキの先輩指導担当であり、そしてこのシナリオの表の流れにおける主人公と言えます。
このシナリオ自体が、SODA−113という事件の後始末であり、PCAがPCの中で唯一の当事者だったと言えます。
その状況を示す様に、PCAのクエストは「欠けた記憶を取り戻す」つまりは事件の記憶を取り戻すことにあります。
PCの造形として、早田サキの先輩に相応しいといいのですが、そうでないならそうでないで、それでも先輩職員のロールプレイを期待したいところです。
PCAのクエストは、シナリオの後半で、サキから情報端末を渡されるところで果たされることとなります。
シナリオがうまく進んでいれば、その情報は今までの状況確認で済む話となるのですが、そうでなければ・・・・大変だなぁ。
何にせよ、シナリオがうまく進んでいるかどうかは、PCAがしっかり動いている事が重要です。そういう風に頑張ってほしいところです。
PCBの場合
PCBの立場と言えば、何を置いてもリコリスとの因縁と言えます。
PCBが西山猫島に来る理由も、シャードの破損が理由と言えるのですが、その原因こそリコリスにシャードを砕かれその半分を奪われたことになるからでしょう。
そう、PCBとリコリスは、ただの仇敵ではなく、シャードを通して繋がっている存在と言えるのです。
PCBのプレイヤーがその事をしっかり判っていれば、時々発生する体半分に発生する激痛がなんなのか気がつくでしょうし、結構おいしいロールプレイのネタになると思うのです。
そしてPCBはリコリスに一番近い立場にいると言うことから、ミスリードを誘う情報をもたらされることとなります。
地震直後、リコリスと差しで話をする機会がありますが、そこの情報にはウソがなく、言葉を選び情報を制限することで、サキが奈落側の存在という疑惑に繋がる情報を流されるわけです。
まぁこのことでゲーム展開に支障が出る様でしたら、「敵から得た情報を、どこまで信用する?」と、敢えて尋ね、助けてあげるのもありでしょう。
クライマックスにおいてもPCBがその目的を果たす最大の機会となるので、リコリスとの決着をしっかり着けてもらいましょう。
PCCの場合
放置という名の自由枠です。
PCCが出なければならないシーンは少なく、もしかしたら西山猫島にいる理由も自分で設定する必要があるほど放置プレイを堪能できます。
その割にはアル重要な情報が、情報と言うよりシナリオキーワードに近い言葉がオープニングで明かされます。
遠山先生から「この島の生活は退屈だろ。でも、ちょっとした休暇だと思えばいいさ」という言葉がかけられますが、その言葉こそ、西山猫島がルートワールドとなってまで存在した理由となるのです。
その関連もあり、PCCには破損したシャードの回復促進に関する事が情報としてもたらされます。(PCCの出場必須の数少ないシーンです)
本当にPCCにはこれ以上どうこうするネタはありません。自由枠と言う名の放置ですらないかもしれません。
そう言ったわけで、PCCにはそこに存在する理由から自分で考えてもらいましょう。
NPCについて
NPC:草田サキ
本シナリオのメインNPCであり、シナリオの流れを左右する存在でもあります。
モチーフはもちろん、ソーダ屋のソーダさんの主人公「早田佐和」さんです。
様子もあのままで、おっとりとしたどこにでもいそうな島の娘さんです。しかし誰にも言えない秘密をその心に隠し、それは自分を取り巻く周りの人々、ひいては世界を守るためです。
その部分を見て、このNPC側の主人公が一体何だったのかを見てみると?
このシナリオが作られた理由は、このソーダ屋のソーダさん劇中冒頭の一言「私・・・死んでしもうたみたいなんよ・・・」この一言があったからです。
TRPGで、この一言を成立させるためには、何を用意しどう展開させるか?その根幹となるキャラクターなのです。
シナリオ内で彼女は、リコリスという奈落と一つの賭をします。
草田サキはリコリスという奈落を取り逃がしてます。そのリコリスを滅ぼす機会と手段をリコリスから提示されます。そのチャンスが潰える、賭の内容を他者に話す、その事で草田サキとそのシャードは奈落化するというのが賭の内容でした。
さて、プレイヤーがこの賭のからくりの真実にたどり着いたとき、且つ草田サキの存在が奈落化されていなかったとするなら、一つの問いかけがされることとなります。
「目的はどうあれ、草田サキは奈落と取引を行い、死からの逆行を行った」
さて、そこで、サキの行いを許すのか糾弾するのか?
安易にサキを許すことになれば、許したあなたは、リコリスのやったことを肯定することとなりますが、どうする?
まぁ、ここまでたどり着く人はいないんだろ〜な〜。
NPC:早田綾芽
モチーフは草田サキさん同様、ソーダ屋のソーダさんの1キャラクター、まぁNPC側主人公の妹さんです。
ソーダ屋のソーダさん本編でも大きな秘密を無自覚に抱えていましたが・・・まぁネタバレはこれぐらいにして。
シナリオ内では、草田サキが西山猫島にて作り出した仮想人格の一人で、やはり自分の妹として造形されています。
本体(草田サキ)が秘密を抱えている分重くて動きにくいところがあったので、PC間を動き回りゲームマスターの方でシナリオを動かすキャラクターになるでしょう。
活発で好奇心旺盛、姉大好き、人見知りはしないほう。草田サキがあの通りおっとりした性格の人なので、子供の頃もう少し活発だったらと言う願望が形になったのだと思っています。
NPC:遠山みのり
早田綾芽と同じく、サキが西山猫島において作り出した仮想人格の一人。西山猫島の真実に一番近い存在と言えます。
島がPC達の回復のためにある。それもシャードを回復させるための目的となっている、その側面を担っているのがこのNPCと言えます。
モチーフはこれもソーダ屋のソーダさんより、島の医者Drペッパーさんとなっております。
このシナリオ最大のギミックだと思っているのがPCC導入のこの言葉。
「今の生活が退屈かな?それとものんびりしたいい生活かな?今のような生活が良いと思っても悪いとも思っても、この時間が大切なんだ。今のようなゆったりした時間がね」
西山猫島の存在理由があっさりオープニングで語られるのです。
シナリオ冒頭にこのようなことを行うのも、情報公開をフェアにしておきたいという想いだけとも言えます。
非常に頭脳明晰な人を想定していますので、会話が多いとそれで苦労します。
珍しく脳内でCVを想定しておりまして、くだけた大人の女性の雰囲気の沢城みゆき様を考えていました。
そのあたりの雰囲気が出てればいいなと思うキャラです。
NPC:リコリス
ググるなどして戴ければ、日本語で「彼岸花」と判ることと思います。
このシナリオ、特に草田サキを巡る物語を見れば、それにふさわしい植物だと思います。
このリコリスというキャラクター、今回ver1.5に構成し直すときに作った新キャラクターとなります。
シナリオを作った当初は、自身のアルシャードガイアを通じて登場する奈落の存在として「ファントム」というNPCを設定していました。
しかし、このファントムなるNPCは、クライマックス寸前シナリオのネタをある程度明かして退場する役目を負っていました。
そうなると、深い因縁を持っているPCBのモチベーションの昇華が、今ひとつくすぶることになってしまってました。
今回この点を考慮し、PCBと直接対決するNPCにすることにしました。
また、シナリオ内の地震発生直後、PCBを通じてプレイヤー達を揺さぶる情報公開をしますが、西山猫島と草田サキの謎の一端を探る数少ない機会とも言えます。
さて、この状況に直面したPCBが頭の切れる人物だとしたら、奈落との対話にどんな言葉を選ぶのか?楽しみです。
NPC:九条綾子
これを書いている人の脳内スターシステム常連の一人です。
TRPGでは中々お目にかかれないキャリア官僚の方で、IBBSというこれまた独自設定のお役所のトップとなっています。
生きる目的というかライフワークは、ブルースフィアを守るためなら、何でもするしどんな犠牲も厭わないという頼もしく危ない人です。
設定にお役所を出すと言うことは、そこに官僚もほしいと思い、考えた末がこのような人物。ただのお役人という人物像では面白くない、役人をするモチベーション且つ結構極端な信念を持たせるには?
ということで、何が何でもブルースフィアを守るという信念を持ってもらうこととなりました。
こんな人ですが、しゃべり方はのほほんとした京都風。GMするにもプレイヤーとして会話するにも手強い相手という感じを目指します。
設定その他
西山猫島
このシナリオのメイン舞台であり、そのために用意したルートワールドです。
ソーダ屋のソーダさんの雰囲気をそのままTRPGに持ち込むにはどうする?ただでさえ今のTRPGは「戦闘頑張れ」で、それでもあのゆったりした空間をやってみたいとするなら、どうしたらいい?
そこで島の生活の意味を設定、PC自身とシャードの回復の場が必要と言うことでした。
このシナリオを作ったとき、「Drコトー」というよく似た設定のテレビドラマが放送していた事もありました。
プレイヤーの感じ方が、島の環境に対し疑心暗鬼や焦りを感じてもらうのも、こちらのもくろみ内なので、してやったりという気にもなりますが、いち早くこの島の目的に気がつくか?という所も気になるところです。
SODA−113
まぁ、ただのしゃれです、SODA=ソーダ。
実際は、役所的な名称の付け方なら、記号−番号にしておけば、それっぽく見えるのではないかと思い、このような作戦名となりました。
注)これを書いている人は、役人生活が長いので詳細は違うけれども文書番号の取り方はこれに似ていると言うことを知っていますし、仕事上のやり方をもじっているとも言えます。
またこのSODA−113という言い方は、あくまでIBBSの記号番号付番法則とします。
TRPGのシナリオを作るときの好みの問題ですが、当方かつての事件、特に大きな事件の後日談という体裁の物語を好みますので、こんな事件を設定した次第です。
たまに「この事件そのものを扱ったシナリオを作れ」と言われますが、モチベーションがシオシオなので、いつになることやら。
設定:加護「メイヴ」
多分このシナリオ内諸々のこじつけの結晶。
草田サキ殉職の理由(加護の代償)
ルートワールドになった西山猫島(加護の余剰エネルギー)
リコリスがサキに目をつけた理由(レアな加護)
PCAが記憶を飛ばしてしまう理由(加護のエネルギーがアレですから)
何よりSODA−113が、かろうじて目的を達成したのが、メイヴによりリコリスの奈落をほとんど削り取ったためなので。
そこまでの要素がありながら、本編ではほとんど触れられないことが多いのです。
惜しいことをした。
シャードの回復方法
西山猫島の設定にもありますが、島の存在理由とは何か?それは傷つき疲れたクエスターを回復させる場と言うことでした。
しかしながら傷つき疲れたと言っても、システム上、クライマックス以外でのHPMP回復はほぼ一瞬なので、休息なんぞ不要ではないかい?と、言われるのが落ちです。
そう言われて「ハイそうです」と言ってしまえば、シナリオは成り立たない。
そこでもっと端的に休養を必要とする状況は何か?と、思いついたのがシャードの破損とその回復と言うことでした。
PCがその能力を使うにはシャードが必要。ならばそれに時間をかけてくださいと言うことです。
(システム本にも、シャードが破損しても回復するとありましたが、どう回復すると詳しく書いてなかったと記憶しています)
そして結構大きな伏線、「シャードを人として扱えば、その回復が格段に促進される」それは草田サキをはじめとするNPCの存在理由に繋がってきます。
ミドルシーン:第1幕
シナリオにあるミドルシーン一番最初の一幕ですが、早田商店にて草田サキとPC@が登場し、サキがPC@に自分が死体だと確認してもらう下りです。
これを書いている人がGMをするなら、まずサキさんがPC@の手を取り、体温のないことを見せます。
そしてその場で横になり、PC@に心音を聞いてもらおうとします。
PC@が心音を聞こうとサキの胸に耳を当てようとすると、綾芽と他のPCが早田商店に帰ってきて、綾芽が錯乱、しっちゃかめっちゃかになるという展開となります。
コミカルに行きます。
この展開があって、後の展開の重さが栄えると、そう思ってます。
生死感
Ver1.0の時の話ですが、クライマックス終了寸前、プレイヤーの一人にえらくゴネられた事があります。
「サキが生き返らないのは納得いかない。加護でも何でも使って生き返らせるべきだ」と。
何かと時間をかけられましたが、サキが死亡した事実は動くことなく終わりました。
これを書いている人の中では、死亡確定なら生き返ることなど無いのです。そこは現実準拠、バトル漫画並みの安売り蘇生はあり得ません。
サキさんはシナリオ開始時点では死んでいます。 その事実はひっくり返ることはないのです。
もし、なんかのアレでこのシナリオでゲームマスターをしようとする方々、この点だけは譲らないでほしいのです。
でないと、「なぁ、私、死んでしもうたみたいなんよ」という台詞が全てウソで、安いハッピーエンドのたたき売りになりそうで。それよりも、安易にサキの死を無かったことにするなら、やってることはリコリスと変わらないでしょう。
そこまでのことを言っておきます。そこまでの理屈を超えることができるなら、甦ることができるのかなぁ?
エンディングについて、
エンディングとなる場面は、シナリオを一通りこなし、クライマックスで敵のヒットポイントをがっつり削った後の話。
しかしながらエンディングへ至ったとき、そこまでのゲーム展開が、果たしてどこまでシナリオ作成時に想定した内容となったのか?
仮にミドルシーンの展開を完全に考慮しエンディングまでシーンの詳細を記述する、残念ながらそこまで書くのは不可能に近いことではないか?
プレイヤーによっては全く想定してない事をミドルシーンで行うこともあります。
本当にそのあたりを見越すと、エンディング部分については、かなり大雑把な記述となります。
記述できることも、PC達が行ったことを元にシナリオのキーとなる部分(このシナリオでは、サキに対する態度など)を元に、うまくいかなければしょっぱい描写に、うまくいっていればそれなりに救われた描写になる、その程度しか書けないでしょう。
これは、このシナリオ独特のことではなく、今まで作ったシナリオ全てに言えることです。
そのためエンディングは、アドリヴを構成するため脳を酷使している状況となります。
三つの質問
このシナリオは、PC@がガイアを持つことが必須と言いたいシナリオとなっています。つまりは、キャラクタークラスのレジェンドを持つこととなりますが、それは同時に「運命の予感」という特技を自動的に得ることとなります。
この特技は、情報のほとんどを情報収集判定でまかなえるシナリオで、情報の取りこぼしをフォローするための特技とみています。
西山猫島のキセキというシナリオは、情報収集判定がほぼありません。
小さな島のどこから情報を得るのか?そこは現実的にならざるを得ません。(状況を整え、人々から聞きだしてください)
それ以前に、この手の特技は、使いどころが難しいと思うのです。
質問3つがシナリオ展開の核になることの解明に使われたらいいのですが、現実は結構な割合で明後日の方向のことを尋ねがち、または出し惜しみする、使いどころが判らず質問権を放棄する、といったことが容易にに予想されます。
と言うことでこのシナリオにおいては、シナリオ開始前にレジェンド持ちにこう尋ねます。
「運命の予感をここで仕様の権利を放棄するなら、代わりにシナリオのヒントを3つ提示します。それぞれの項目はシナリオ全体のヒントなので、アナタだけに関わり項目ではありませんが、どうしますか?」
応じるなら以下の3点を提示します。
1・敵からの情報をどう評価するか?
2・草田サキについて不用意に深入りすれば、悲劇しかない。
3・嘘をつくNPCは一人もいない。
1は、シナリオがある程度進まないと意味をなしません。PCBがシナリオ中にリコリスと合う場面のアドヴァイスです。
2は、草田サキや遠山みのりの口が重い事を暗示します。
3は、むしろゲームマスター側の話で、ミスリードは可能ですが言葉は慎重に使う必要が出てくるというととになります。
さて、様々な意味でこの情報をうまく活用してほしいと思う次第です。
真相へ
このシナリオは、アルシャードガイアを元に作っておきながら、情報収集シーンも判定もないというシナリオになっております。
全てはNPCとの会話と、キャラクターの行動から出てきた結果、マスターが提示する描写などから事件に関わることを読み取ってほしいと思い作られています。
また情報収集、というかシナリオの本当の確真に近付く事について非常にやっかいな点が、草田サキの真実にうかつに近づく事がバッドエンドへの道になっていると言うことなのです。
どういうことか?もう一度確認するなら、草田サキに対し、言い負かす・説得する・交渉するなどして、本人から真相を聞き出した時、リコリスとの契約により奈落側の存在になると言うことなのです。
そこで、それでもサキの真実にサキを直接問いただすことなく、近づく方法はあるのか?かなり難解な方法なら一つ想定できます。
その方法は、リコリスから直接聞き出す、という方法が考えられます。
この方法、神がかりなひらめきがないと、不可能な思いつきなのか?それより僅かにましだと言います。
根拠は以下の通り。
シナリオ中、西山猫島全体を襲う地震が発生し、その事態収拾を行っているとき、PCBは、リコリスと会話をするシーンがあるのです。
ただ、そのシーンを見ていて、リコリスと接触しようと思いつくことは難しいとは思います。
ですがここに可能性の一つとして提示しておきます。
状況によりますが、前述の「運命の予感」に関するヒントの先渡しを見て、一つ目のヒントがこのことの手がかりにもなります。
シナリオ中盤PCBは、リコリスと会話する機会があります。
見方を変えれば。、敵(リコリス)から情報を得る機会があると言うことを、ここで示していることとなります。
まぁ、ここまで考えが至ることは希だと、思います。そして思いついてからも、その接触方法は?交渉の方法は?と、難題山積みでしょう。
それに下手をすると、情報収集をしようとしたキャラクターは、一人先にBOSS戦をすることになるかもしれないからです。
これも、おそらく辿り付くことが非常に困難な道と思います。
最後に
これが、今現在シナリオを可能な限り作り込み、その情報をできるだけテキスト化した結果となります。
本来、TRPGは参加者に「楽しかった」と思わせることが本筋なのです。ならばここまでの情報量は不要であり、むしろここまでの情報量は本筋の「楽しむ」という事すら阻害する要因となり得ます。
それでも書きます。
何より自分が遊ぶことに、納得いく作品を作りたいのです。
そして自分以外の人の前で表現することなのです。それに手を抜くのは失礼になる。そういう想いがあるのです。
本来TRPGのシナリオなんて、始まって終わって楽しかった、を満たせば及第点なのです。
それでもそこに至るまで、これほどの労力を払っているゲーマーがいると思い至って戴ければ幸いです。
15/01/16 23:14更新 / 物